教育訓練について
医薬品の製造において、品質の根幹を支えるのが、GMPおよびGQPに基づく教育訓練です。
製造手順はもとより、工場内への入退室や清掃、機器類の操作方法など様々な手順や法律、逸脱、変更に伴うものなど教育内容は多岐に渡ります。
教育を積み重ねて、品質の良い、環境の良い製造環境を整えていく事が重要かと思います。
しかし実務の現場では、「記録のための教育」や「形式的なeラーニング」に留まってしまい、本来の目的である品質保証の強化につながっているのか疑問をもつ場面も正直あります。
教育訓練の理想的な姿、現状の課題を考えてみたいと思います。
理想的に教育訓練の姿
理想的な教育訓練とはどのようなものでしょうか
・計画的な実施
・教育内容の充実、誰がやっても同じ内容
・理解度を客観的に評価できる
・行動変容が起きるような内容
・受講者が意欲的になる
などでしょうか。単にやって終わりではなく、実際に現場で仕事する際に活かされるような教育が求められます。が現実的には難しいのが現状です。特に中小企業だと。
いくつか考えられる問題点をあげてみます。
現状の問題点
① 形骸化
- 「受講したかどうか」が目的化
- 内容の理解や実務への反映が不十分
- 忙しいを理由に十分な時間が取れていない、確保されていない
② 一律教育
- 職種・経験に関係なく同一内容
- 不要な教育や過不足が発生
- そもそも各レベルに対して的確な資料を作成できる人材がいない
③ 効果測定の不足
- テストはあるが形式的
- 実務への影響を評価していない
④ 更新性の欠如
- SOP改訂や逸脱事例が反映されない
- 教材が陳腐化
などなど、様々な原因が考えられるかと思います。
解決策・改善アプローチ
いくつか改善案をあげてみたいと思います。
■ ① リスクベース教育の導入
- 重要工程・重大リスクに重点配分
- 例:無菌操作、データインテグリティなどは重点教育
■ ② ケーススタディの活用
- 自社または他社の逸脱・回収事例を教材化
- 「なぜ起きたか」「防ぐには」を議論
■ ③ 教育効果の可視化
- KPI例:
- 教育後の逸脱件数の変化を可視化→逸脱件数を0にすることを追い求めて、報告が上がってこないなんて事態にならないように注意は必要
- ヒューマンエラー率
- 監査指摘数
■ ④ ロール別教育設計
- 製造、品質管理、品質保証で内容を分離
- 新人・中堅・管理職でレベル分け
- 資料の作成の労力は増える→AIの活用で労力が削減できる?
■ ⑤ 双方向型教育への転換
- ディスカッション、クイズ、グループワーク導入
- 「受ける教育」から「参加する教育」へ
■ ⑥ 教育と品質文化の連動
- 教育を単発イベントにしない
- 日常業務(朝礼・レビュー)に組み込む
【まとめ】
GMP・GQPにおける教育訓練は、「実施していること」ではなく「機能していること」が重要です。
理想とのギャップを埋めるには、
- 教育の目的を再定義し
- 実務と結びつけ
- 継続的に改善する仕組み
が不可欠です。
教育訓練はコストではなく、品質を守るための投資です。
形式から脱却し、実効性のある教育へと進化させていくことが、今後ますます求められるかと思います。
ただ、リソースをどこまでさけるかという問題もあります。特に中小企業。
最小の労力で最大の成果をとは言葉では言えますが、難しいのも現状です。AIをうまく使えば労力の削減できるんでしょうか。
他社の事例を聞いてみたいものです。

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