第一三共が製造販売しているエフィエント錠3.75㎎のPTP シートに印字されたGS1コード(調剤包装単位コード)に誤りがあったというニュースがありました。
発覚した経緯や第一三共の対応について考えてみたいと思います。
エフィエント錠にと今回の印字不具合について
まず、エフィエント錠についてですが、抗血小板薬で心筋梗塞、脳梗塞などに使用される薬です(詳細は添付文書を確認してください)
元々、9月に入った段階でPTPシート表示変更の案内があったようですが、その変更品のPTPシートに印字されているGS1コード(調剤包装単位コード)に誤りがあり、なぜかリクシアナ錠15mgのコードが印字されていたようです。
(リクシアナ錠は血液が固まるのを防ぐ抗凝固薬です)
調剤包装単位コードが間違っていると調剤監査時に処方内容と一致せず、調剤過誤の危険があります。
発覚から第一三共の対応について
この問題が発覚したのは、おそらく9月18日のとある薬剤師のXでのポストが最初かと思います。
その後メーカーへの連絡を経て第一三共からの公式リリースが出たのは9月25日でした。ちなみにその前に日経DIやミクスオンライン(一番上のURL)の報道がありました。

…日経DIの記事をよく見たら、得意先から指摘を受け、25年9月12日に誤りが明らかになったってありますね。
第一三共のリリースは下記URLからご確認ください。
内容としては、錠剤はエフィエント錠で間違いがないこと、販売包装単位コード、元梱包装単位コードは正しいこと、今回収すると、安定供給に支障が出る、欠品するから正しいコードのものが製造されるまでは自主回収はしないこと、それまでは気をつけてねということが記載されています。
第一三共の対応について
さて、第一三共の対応について考えてみたいと思います。
まず、問題が発覚し、すぐに自主回収を行わないという点についてですが、PTPシートの中身が正しくエフィエント錠であり、有効性・安全性に問題がないことを確認とれているので、この対応は個人的にはありだと思います。
すぐ回収して、欠品状態になるのは患者に不利益がありますからね。特に循環器系の薬なので。
しかし、品質情報が上がってから(日経DI報道ベースだと9月12日なのでほぼ2週間、X上ベースだと9月18日なので1週間)もの間、公式からのリリースがありませんでした。調剤過誤に繋がりかねない事例のため、素早く第一報を出すべきではなかったかと思います。
が、実際に出せるものなのでしょうか。
調査にかかる時間を考える
印字不良の連絡があって、現品を引き上げて、そこから調査となるとそれなりに時間がかかるかと思います。(その間に参考品や保存品を使って確認をするとは思いますが。)これで2〜3日かかる?
そして問題があることを確認したあとどうするかを考えなければなりません。コードが間違っているということは中の錠剤は正しいのか?という疑問が出てくると思います。そうなれば試験を行う必要があります。
エフィエント錠の試験が普段どのくらいかかるのかわかりませんが+1日。その間に在庫状況や出荷状況の確認などして時間を有効に使うとすれば、第一三共の対応は迅速に対応されたと言えるのではないでしょうか。
いや工場の製造記録を見て、錠剤自体に問題がないことを把握できる?どうなんでしょう。でもその製造記録がおかしかったから問題になっているのでは?そうすると信ぴょう性はあるのか?
それと今週は火曜日祝日で工場が土曜日から火曜日まで4連休な工場も多いのでは?(実際に第一三共の工場がそうだったかはわかりませんけどね)
その中での対応なら早い方だと思うのですがどうでしょうか。(9月12日時点でわかっていたとすると遅いかもですが)
とはいえ現場では調剤過誤の危険があるため、いち早く情報がほしいというのは理解できます。難しいです。
なぜ印字間違いが起きたのか
なぜ印字間違いが発生して、それが出荷されてしまったのでしょうか。
おそらく、製造工程中の工程検査や出荷試験でGS1コードの読み取り確認はされているはず。
製造指図記録の指事と工程検査での結果が違っていればその時点で気づくはず。それがスルーされたということは最初の指図の時点で間違ってた?人の目で最後に確認していなかった?
もしくはチェックが甘かった?バーコードリーダーを使ってないということはないとは思いますが、それにしても出荷前までに気づくポイントが多数あったはずなのに出荷されているのが気になる点です。
いずれにしても重大な逸脱であるように感じます。原因の究明及びその対策を知りたいものです。
まとめ
今回のエフィエント錠の事例についてまとめると、品質上問題がないことを確認しているので、即自主回収としないのはいい判断。ただ、品質上問題がないことを確認する時間が必要とはいえ、公式からのリリースが遅いのでは?また、なぜ本来あるはずのチェック機能が機能しなかったのかは検証する必要があるでしょう。
おそらく、薬局、病院視点と工場視点、また製販、経営者視点でも見方が違ってくるかと思います。いろんな視点からの意見を伺いたいものです。

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