薬機法が改正されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001492021.pdf
今回の改正は、不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供していくため、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われる環境の整備、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等の必要な措置をとるとのこと。
具体的にどんな内容が書かれているのか、製造業に関わることの中で何が変わったのかを見ていきたいと思います。
品質保証責任者・安全管理責任者の法定化と変更命令
今回の法改正により、医薬品の製造販売業者に対して、医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置が法定化されます。これは、製造販売業者における品質保証や安全管理に関するガバナンスを強化するための措置です。この2つの役職がどんな役割を持つのか改めて書き出すと、
・品質保証責任者: 出荷管理、製造所の監査、品質不良等の処理など
・安全管理責任者: 安全管理情報の収集・分析、安全管理措置の立案・実施など
これらの責任者は、総括製造販売責任者と相互に連携し、製造販売体制において重要な役割を担います。
とはいえ、元々省令などで示されていたので法定化されたからと言って何か役目がかわるものではないです。今まで通り。ただ、重要な点として、厚生労働大臣による変更命令の対象となります。ここが青おきな変更点ですね。何か問題が発生し、変更命令が下される=国から直々にお前は能力不足というお墨付きをもらうことになるわけですね。だからというわけではないですがしっかり役目を果たさないとですね。
役員の変更命令
近年の行政処分事案で、責任役員の関与が認められた事案があったことを踏まえ、法令違反等があった場合に、製造販売業者だけでなく、製造業者の薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令も可能となります。これは、責任役員が原因で薬事に関する法令違反が生じ、国民の生命・健康に大きな影響を与える可能性がある場合に行われます。役員の例としては、代表取締役や薬事関連業務(品質保証、研究開発、営業、コンプライアンス等)を担当する取締役などが挙げられます。
これにより、製造販売業者および製造業者を含めた企業全体のガバナンスと、薬事に関する責任者の役割がより厳しく問われることになります。製造業者は、製造販売業者による製造所の製造管理及び品質管理の実施状況の監督・監査が法制化されることとも併せ、品質・安全管理体制の一層の強化が求められます。
供給体制管理責任者の設置義務付け
数年にわたり特に後発医薬品を中心に医療用医薬品の供給不足が続いている現状に対応するため、今回の改正では医療用医薬品の安定供給体制の強化が図られます。その一環として、医療用医薬品の製造販売業者に対し、供給体制管理責任者の設置が法定化されます。
この供給体制管理責任者は、企業における平時からの取組として、安定供給体制の整備を担います。
主な役割:安定供給のための「手順書」を踏まえた企業内の体制整備、取組の推進。安定供給に関する法令遵守等。
「手順書」の記載事項例:安定供給のための社内各部門の連絡調整体制の整備。原薬の確保、在庫管理、生産管理等に関する手順。
供給体制管理責任者は、限定出荷・供給停止を行う場合の厚生労働大臣への届出義務や、供給不足時における大臣からの協力要請(製造販売業者への増産要請など)といった供給不安解消策や、安定確保医薬品の需給状況の把握・調整においても中心的な役割を果たすと考えられます。
これは製造販売業者に課される義務ですが、その役割には「原薬の確保、在庫管理、生産管理等に関する手順」が含まれており、これらは製造業者との密接な連携なくしては実現できません。製造業者は、製造販売業者に設置される供給体制管理責任者との連携を強化し、安定供給に向けた体制整備に協力していくことが重要となります。
まとめ
医薬品の製造に関わりそうな改正箇所をざっと見てみましたが、多くは今までやってきていることが改めて法律として記載されたという感じです。
ただ、供給体制管理責任者が設置されることは新しいところでしょうか。まあ、新しく責任者を設置したところで解決になるのかというは正直疑問ですが・・・。
法律が改正されたからといって製薬企業の役割は変わりません。引き続き職務を全うしていくのみですね。

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