監査で必要な心構え
GMP監査は、製造所の品質システムや業務プロセスが適正に管理されているかを確認する重要な機会です。しかし、監査は単に「指摘をする場」ではなく、「品質向上のための対話の場」でもあります。
今回は、GMP監査員として自分が大切にしている心構えをいくつか書いてみたいと思います。これから初めて監査を担当される方の参考になれば幸いです。なるんかなあ。自分もまだ数年しかやってないから間違えてたらごめんなさい
1. 監査は粗探しの場ではない
監査は何でもかんでも指摘することが正しいわけではなく、品質を高めるための協働の場です。監査先の話をしっかり聞くことが重要だと思います。もちろん、疑問に思ったこと、なぜそうなっているかを聞き出す事が大事なのかなと思います。ベストの状態持っていくのが最高の形ではありますが、設備、資金、人的などなどの面から厳しいこともあります。その時にベターな対応ができるような指摘、助言をしたいと考えています。
2. 現場ツアー時、その場で質問すること
現場ツアー時には設備や製造中の従業員の方、製造工程の説明、道具の使い方など多くの説明を受けることになります。しっかり聞くととももに質問があればその場でするようにします。後からあれってどうなんですかと聞くのは野暮です。なるべくしないようにするのを心がけましょう。(現場ツアー時って機械の音とかでよく聞こえないこともあるので、尚更です)
3. 事実をベースにする(感情や思い込みを排除)
「これは手順と異なる」「記録に不備がある」といった事実に基づく評価を心がけます。思い込みでやらないように。
4. 説明責任(Why)を持つ
指摘をする際には、「なぜそれが問題なのか」を論理的かつ丁寧に説明できるようにします。GMP省令とかではこうなっているとか、事例集にこう書かれているとか、手順書と実態が違っていたとかですかね。
5. リスクベースの視点を持つ
全てを100点満点にする必要はありません。というかできないと思います。リスクの高低を見極めて最低限ここまではやってくれとか、優先順位をつけて対応を求めることが、重要だと思います。
6. 文書だけでなく「現場を見る」
記録が完璧でも、現場の状態がそれと一致していなければ意味がありません。人・モノ・動線・空気感など、現場でしか得られない情報があるのでよく観察することが必要です。特に動線が通っているか、きちんと整理、整頓されているかは重要です。労働安全にもつながりますしね。
7. 監査後のフォローアップも重要
監査は報告書を書いて終わりではありません。必要に応じて是正・予防措置(CAPA)の妥当性評価や実施確認まで責任を持つことで、監査の信頼性が高まります。
まとめ
GMP監査は、製造現場の改善を後押しする重要な活動です。監査員の視点や態度が、現場との信頼関係を左右し、ひいては製品品質にも影響を与えます。よく観察し疑問があればすぐに聞く、知識を入れておくことが必要となると思います。
またどうしても粗を探したくなる気持ちが出てきますが、それを抑えて、製造所に対して必要な指摘を心がけましょう。(でも何も指摘することない・・・という時はなんか1つぐらいとは思ってしまいますけどね)
あっ。監査のまとめの時に必ず良かった点は褒めてあげてください。後、自社の製造所へのフィードバックもあったらいいですね、同じこと指摘事項としてないかとか、できそうな取り組みとか。お互いWin-Winになるようにしましょう。


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