
ブラインドコンプライアンスとは
最近知った言葉ですが、ブラインドコンプライアンスというものがあります。あまりGMP関連でも聞き慣れない言葉だと思います。
ブラインドコンプライアンス(Blind Compliance)とは、「内容や背景を十分に理解せずに、指示やルールに盲目的に従うこと」を意味するそうです。なんとなく言葉からわかりますね。
これは、「何も考えずにマニュアル通りに動く」「指示されたからやった」「ルールに書いてあるから理由はわからないが従った」といった行動のようです。
一見すると規則に従っているように見えますが、以下のような問題があります:
- 異常の見逃し:指示と異なる事象が起きても「気づけない」「疑問を持てない」
- 改善の機会の喪失:問題の根本原因にアプローチできない
- 責任の不明確化:「言われたからやった」と責任転嫁が起きやすい
医薬品工場におけるブラインドコンプライアンスの事例
どんな事例が考えられるかをいかに上げてみようと思います
事例1:温度逸脱の見逃し
ある製造オペレーターが、「室温は常に自動記録されているから問題ない」と信じ込み、温度が一時的に逸脱していたにも関わらず気づかずに工程を進行。
→ 記録を確認しても内容の意味を理解していなかった
事例2:機器清掃手順の誤解
清掃マニュアルに「A洗剤を用いて洗浄」と書かれていたが、そのA洗剤が別の場所に変更されていたことに気づかず、誤った洗剤を使用。
→ マニュアルの内容や変更の意図を理解しないまま作業
事例3:逸脱報告をしない
「この程度なら報告しなくていい」と過去の慣例に従い、異常を報告しなかった。
→ 「考えること」をせず、周囲に流される
GMP・GQPとの関連性
GMP(適正製造基準)との関係
GMPでは「品質は作り込むものであり、ただ手順通りにやるだけでは不十分」とされています。ブラインドコンプライアンスは以下の点でGMPに反します:
- リスクベースアプローチが取れない(なぜその工程が必要なのか理解していないため)
- 教育訓練の目的が形骸化する(知識の定着でなく、作業の暗記になる)
- 逸脱・変更管理の適正な運用が困難(判断力が欠如)
GQP(適正品質管理基準)との関係
GQPでは、製造所から納入された製品が適正かを品質保証部門が判断しますが、ここでもブラインドコンプライアンスはリスクになると考えられます。
- 試験結果の意味を理解せず判定してしまう
- 出荷判定で本質的なリスク評価を怠る
- 変更管理や逸脱処理が「形式的」になる
まとめ:なぜ「考える力」が必要なのか?
ただ単に手順を守るだけでは医薬品の品質や患者の安全に直結する重大な事故につながりかねません。
GMPやGQPの根底には、「なぜそのルールがあるのか」「どうすればより良くなるのか」を理解し、考え、改善していく姿勢が求められます。

初心者がGMPを最初に学ぶに適した本です

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